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バー経営の話=タイで起業編(4)-ピピ・ホテルの対決

タイのブログ-タイ情報とコラム

タイで起業編(4)

-ピピ・ホテルの対決

ピピ・ホテルの応接室、ウィチュダーの間。
女王ウィチュダーとの賃貸契約交渉の争点は、

土地の登記。

タイの法律では、土地の登記なしに不動産の賃貸を
契約書だけでできる期間は3年。

どういうことかというと、

仮に、この3年の間に大家が不動産を売却した場合、
新しい大家に対しても、この契約書が有効ってこと。
しかし、書面だけで3年契約のダブル(6年)を大家と
してしまった場合は、初めの3年を過ぎてから、仮に、
大家が不動産を売却してしまった場合、立ち退かな
ければならなくなる。

しかも、無償で。

もちろん、家賃や権利金の返還もない。

そして、

女王ウィチュダーは、僕との15年契約を一通の契約書
で交わそうとしていた。

もちろん、その契約書自体が法的な効力を持たない。

ボク 「土地の賃借を登記してください」

女王 「100棟以上のタウンハウス、それぞれ登記する
なんて、手間がかかって、できません」

(↑ もちろん、莫大な税金がかかるから)

ボク 「それなら、3年契約を、その後、4回延長する権利
のある契約オプションを付けて、できますか?」

女王 「できます。3年ごと、120万バーツの家賃で」

ボク 「15年300万バーツなら、3年60万バーツでは?」

女王 「それでも、月家賃で借りるより、ずっと安い」

ボク 「僕は、15年300万バーツで借りたいのです」

女王 「それなら、これにサインしなさい」

ボク 「・・・ (だから、法的に使えないって言ってるだろ)」

女王 「もう、10年以上の契約が30棟以上できているから。
皆、私を信用してますよ」

「契約書などなくても、問題ありません」

「契約書などなくても、問題ありません」

「契約書などなくても、問題ありません」

これでは埒が明かないと思ったので、
弁護士を電話で呼び出し、女王ウィチュダーと交渉させる。

「ブツ、ブツ、ブツ」

「パク、パク、パク」

女王ウィチュダーが電話を怒鳴りつけている姿だけが映り、
何を喋っているのか、まったくわからぬまま、電話が終わる。

女王、マネージャーに何か指図をすると、退席する。

僕の前を通るときに言った捨てゼリフは、

「I am very fair」

マネージャー、デスクの引き出しから札束を掴み出し、
1000バーツ札を100枚数えて、僕に差し出した。

僕は、受取書にサインをすると、ウィチュダーの間を出た。
こうして、手付金は自ずから回収され、ピピ島の契約は決裂。
thaiblog
タイでは、まだまだ、経験不足。
弁護士への相談料、3万バーツが、また授業料になった。

でも、法律をまったく無視した、権力者に有利な契約を結ぶ
このタイの慣習、何とかならないものかな・・・と思いながら。

この8か月後、ピピ島は津波という大災害を受けたわけだが・・・

全財産を失った大勢の店子の蚊帳の外で、女王ウィチュダーが
義援金を独り占めして、せせら笑っている姿が、なぜか僕の目に
浮かんでしまう。

そして、女王ウィチュダーよりも上手なのがサイ。

「わたし、津波が起こるって、わかってたんだから。
あんな危ないところに住みたくないって、言ったでしょ」

「それ、ホントかよ ???」

「起業・バー経営の話」、タイでの起業の話、バー経営の話、バンガロー
経営の話などを、これから暇をみて綴っていきます。