タイで起業編(3)
-ピピ島での対決に至るまで
ピピ島の、泣く子も黙る、女王ウィチュダー(Wichuda) との
交渉のため、ウィチュダー城の名で知られるピピ・ホテルへ。
「泣く子も黙る」っていうのは、比喩でもなんでもなくて、
通りで泣いてた子供が、ウィチュダーが遠くから歩いて
くるのに気づくと、いきなり泣き止み、走って家の中へと
逃げ込む姿を、僕が目撃したから。
ウィチュダーさんっていうのは、ハジャイの財閥系一族の
おばさんで、いつも厳しい、迫力のある顔をした人。
ピピ島へは月に2度ほど来て、自分の支配下の商いを、
視察して回るのだが・・・
借金の返済を滞納している店子の家を訪れては叱りつけ、
商店街にゴミなどが放置されていると、また怒り、叱る。
女王ウィチュダーは、人々に恐れられていましたね。
ウィチュダーとの対決に至るまで
僕がピピ島でビジネス視察をしていたのは、津波のあった
年の年明けから4月。8か月後のクリスマスに津波が来て、
トンサイの街を壊滅状態にするとは、その当時は誰も知ら
なかったわけです。
そして、ウィチュダー王国では街の繁華街、毎晩ムエタイの
ショウが行われるレゲエ・パブ周辺を中心に、100棟以上の
タウンハウスの建設を計画、そして建設中。
これらのタウンハウスは、テナントとして貸し出される。
賃貸料は、
15,000バーツ/月
または、
1,500,000バーツ/15年
僕が興味を持ったのは、1,500,000バーツ/15年
2階建ての小さなタウンハウスだったので、2棟をぶち抜きに
して、3,000,000バーツ/15年で借りるという計画を持った。
借りるのは箱だけ、店内の創築については自費になるので、
短い賃貸契約では、もともと計画が成り立たない。
長期、15年で300万バーツっていうのは、そう無理がないし、
「ピピ島に15年住んで、毎朝トンサイ湾を潜れる」という誘惑。
僕の気持ちは、ピピ島のタウンハウスに傾いていた。
以前からの女王ウィチュダーとの数度にわたる話し合いで、
ボク 「メイン通りの角がいいのだけれど」
女王 「それは、銀行や大手企業に決まってます」
ボク 「はあ・・・」
女王 「レゲエ・パブのゲート正面の2棟を貸してあげましょう」
ボク 「メイン通りじゃないから、家賃を安くしてもらいたい」
女王 「資金が足りないなら、私が貸してあげましょう」
「皆、私から資金を借りて、出店しますよ」
ボク 「借金をするつもりは、ありません」
ボク 「電気代・水道代のユニット単価は固定できますか」
女王 「それは、年ごとの更新、戸別の契約です」
「今年の10月までに完成、11月の入居になります」
ボク 「工期が遅れた場合のペナルティはありますか」
女王 「私を信じなさい」
ボク 「はあ・・・」
女王 「300万バーツは工期ごと3度に分けて払うように」
「初回の支払いが済んだら、工事監督と話し合って、
図面を変更して建てることができますよ」
女王 「まず、手付金の10万バーツを払ってください」
「私が契約書をつくります」
ボク 「契約書は僕の弁護士に送ってください」
女王ウィチュダーは英語が苦手なようで、ほとんどは通訳役の
マネージャーを通しての会話だったが、ときどき、口をはさんで
きては「YOU SHOULD BELIEVE ME」を連発してましたね。
大まかに言うと、こんな話し合いをして手付金を払って、弁護士
の掩護を受けながら、再び、僕とサイはピピ島に乗り込んで、
今日、ピピ・ホテルで、最終対決のときを迎えたのです。
「サムイ村の話」、これからタイでの起業の話、バー経営
の話、バンガロー経営の話などを綴っていきます。