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何も解決していないタイの赤服問題(2)-教育格差

タイのブログ-タイ情報とコラム

バンコク 5・19、赤服騒動から2か月弱。
タイ、バンコクは、まるで惨事など無かったような
明るい街の雰囲気に包まれています。

でも、赤服問題は何も解決されていません。

このブログで、赤服問題の根元を探って行こうと
思っていますが、赤服問題の根元を探ることは、
もっと、タイの国、タイの人々を知ることに繋がる

と考えるからです。
タイに10年住んでいても、外国人には見えにくい
こと、見えていても自然と目を瞑ってしまっている
ことが、多々ありますので。

タイの赤服問題の根元にあるのは、
(人々が扇動・利用される背景には)
教育の格差
学歴至上主義と階級社会
地方と都市部の所得の格差

これらは絡み合い、貧困問題に直結してます。

そこで、
今日は、タイの教育の格差について。

タイの教育制度は、日本と同じ6・3・3・4制で、
小・中学校は義務教育です。
1998年の進学率は、
小学校 92% 中学校 72%
高校 48% 大学 20%
現在の進学率は、
小学校 97% 中学校 92%
高校 60% 大学 45%
この10年余りのタイの進学率は、飛躍的な伸び。
その背景にあるのが、
有名大卒と高卒では初任給が3倍違うと言われる、
給与格差=学歴至上主義。

貧困家庭の子でも、満足のいく給与を稼ぐために、
大学に行きたいと考えるのは当然のことですが、
大学卒業=貧困層と中間層の選別フィルター
であるかのような認識がタイの社会にはあります。
貧困層からは下働き以外は雇いたくないという、
タイ人経営者の意識が反映されているのでしょう。
(華僑社会は家と家の繋がり、就職には紹介状)

もちろん、商才ある中卒者が屋台引きから始めて、
お金持ちになるサクセスストーリーもありますが、
それは稀な話です。

さて、20代後半の地方出身のタイ人に、高校進学
当時の状況を尋ねてみました。
(当時のタイの高校進学率は、統計上で48%以下)
タイの高校は都市部にしかないため、地方では、
地方都市(主に県庁所在地)にしかありません。
(私立高校が無い地方都市は、国立高校のみ)

街に住む商人の子の半数以上が高校へ進学する
一方、県の僻地の農村からは高校進学が稀。

彼女の通う僻地の農村の中学校は、30人学級が、
5クラス。中学3年になると、各クラス成績優秀順に
2人ずつ、担任教師に高校進学を勧められたという。
高校進学枠は、10/150=6~7%
各クラスの成績1~2番が進学を辞退すると、3番手
に、この高校進学枠が譲渡されていたらしい。

こうした中学校を経て入学した都市の国立高校では、
街の子の半数以上は大学進学、農村から通う子の
大学進学は皆無だった
ということ。
「あの当時は奨学金制度もなく、大学進学は無理」
今では県の奨学金で、田舎の農村から上京して大学
に通う者も、ごく少数ながら居るらしいが・・・

貧困農村から高校、大学に進学するのは成績優秀者
だけの話で、
今も、貧困な農村では、高校進学もままならない状況
が続いているらしい。

都会に出れば、高卒が溢れている状況。
工場など単純労働でも18歳以上で紹介状が常識。

彼ら、貧困農村の若者は、希望を抱けるのだろうか。
14-15歳で中学を卒業しても、就職の見込みなし。
都会に出ても、中卒では露店の下働き程度だろう。
だからと言って、貧困農村で稲作を手伝っていても、
彼らは、貧困から抜け出せない。
彼らは、貧困の中の幸せに浸るだけなのだ。

パンコクの某有名大学では、成績が落ちただけで、
クラスメートが自殺する事件が頻繁に起きている。
一流大学をトップクラスで出ることが人生を決める
と言えるタイ社会の中で、
一方では、今も、貧困な農村で、
高校進学もままならない状況が続いている。

貧乏だから、学校へ行けない。
学校を出てないから、貧乏だ。

タイの教育の格差、
田舎の農村では、現在も高校進学が2割に満たない
(都市部しか高校がない)状況が変わらない一方で、
バンコクのお屋敷エリアでは、大学卒業でも足らず、
欧米の大学院に留学することが、トレンド。

日本人には想像を絶する学歴による給与格差がある
タイ社会では、教育の格差=貧富の差 となっている。

工場労働者が月給6000バーツで働いていると聴き、
「よく、それで生活していけるな」と言う方が居るけれど、
彼らは、生活できていない !!
植民地のプラントで働いている奴隷と変わりません。

見えていても自然と目を瞑ってしまっている事実です。
彼らの働く姿が、少し怠惰に映る理由がわかりますね。
(次回、-学歴至上主義の話に続く)

タイの教育改革に3000億円超を投じる・・・
(CAPLOGUE)
教育改革予算の使われかたが問題になりますね。
バンコクを含む19県を対象に非常事態宣言の延長・・・
(タイの地元新聞を読む)
7月7日から90日間にわたり非常事態宣言が延長。
首相、年末までに赤服が再集結 ・・・
(タイの地元新聞を読む)
赤服集団が年末までに確実に活動を再開すると、
アピシット首相は考えているが・・・
刈入れ時期が終われば、騒動が起こる可能性大。
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