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何も解決していないタイの赤服問題(2)-学歴至上主義

タイのブログ-タイ情報とコラム

バンコク 5・19、今年も赤服騒動がありました。
そして今も赤服問題は何も解決されていません。

このブログで、赤服問題の根元を探って行こうと
している理由は、赤服問題の根元を探ることは、
もっとタイの社会、タイの人々を知ることに繋がる

と考えるからです。
僕ら、在タイ日本人も無関係では居られません。

前回のブログでは教育格差について書きました。
今回は、タイの社会に存在する学歴至上主義
ついて。

タイ社会では学歴至上主義があるから、教育の
レベルで、大きな賃金格差が生まれています。

階級意識の高いタイ社会では、学歴至上主義
階級選別フィルターの役割をしていると言えます。
階級=学歴が賃金を決めて、大きな貧富の差を
生んでいると言えるのではないでしょうか。

裕福層=高学歴
タイの裕福層は、一流大学卒業後に海外留学。
海外の大学院で学位を得て、就職したら個室に
秘書付なんてこともあり、タイのトレンディドラマ
のような社会が待っています。
初任給でも3~5万バーツ以上。
アピシット首相のように、オックスフォード大学を
主席で卒業していれば、10万バーツ超?

中間層=大卒レベル
バンコクなどの都市部に住む、教育熱心な層。
チュラロンコンやタマサート大学をめざす人々。
大卒初任給は、15000バーツ以上。
中間管理職で、3~5万バーツ以上。

僕ら、タイで働く外国人の地位は、この中間層
の上位レベル辺りにあるのだろうと感じますね。

貧困層=高卒または中卒レベル
地方の農村地域から上京した労働者や都市部
の低学歴層。
初任給は、6000バーツ程度。
ただし、中卒者は企業への就職自体が困難。
市場の露店など、個人商店への見習いが多い。

バンコクに住むタイ人の若者たちと話をすると、
人並みの生活をするためには、
月給15000バーツ(約45000円)以上は必要。

20000バーツなら、将来に備えて貯金が可能か。
(タイでは結婚するために、男は結納金を貯める)

サムイ島の多くの中堅のホテルのレセプションには、
大卒者と高卒者が居ます。
大卒の場合、在学中に一定期間のトレイニーを経て、
その紹介状の下に採用される。CEO候補と呼ばれる。
高卒の場合、ホテルに直接応募。主に英語が流暢で、
勤勉であれば、採用されるようだ。
彼らの実務は変わらないが、待遇が格段に違う。
給与の相場は、
大卒 15,000~20,000バーツ+チップ
高卒  7,000バーツ+チップ
彼らの給料格差は、年月が経てば、さらに広がる。
ただし、高給取りの大卒は、使えなければ即クビに。

サムイ島のホテルの高卒スタッフは、
大学さえ出ていれば(貧困層の出身じゃなければ)
というトラウマを負ってる者が多いように見られます。

ただし、賢い彼らは貯金が貯まるとバイクを買って、
旅行者にバイクを貸し、月給以上の副収入を稼ぐ。
レセプショニストの立場をフルに活用してますね。
稼ぐということでは、サムイ島は特例区、例外です。

月給6000バーツで働く貧困層の生活は?
貧困層=低学歴層の生活は、
月給6000バーツでは、寮に住めて、通勤バスが
迎えに来るようなところで働いていても、食べ物や
身の回りの物を買ったら、それで終わり。
お洒落なレストランに行くことも無く、貯金も無理。
将来の夢を託すのは、月2回の宝くじくらいだろう。

タイでは貧乏人の娘が金持ち御曹司と結婚できる
のは、トレンディドラマだけ。階級が違うと接点さえ
無い彼らは、そんなTVドラマにも夢を託します。

月給6000バーツで、アパートを借りて、通勤する
人々は、学歴至上主義社会の奴隷です。
バンコクで、水桶で入浴するようなボロアパートを
借りても光熱費を払ったら、3000バーツ相当。
残りの3000バーツ(1日100バーツ)でバスに
乗って働きに行き、食べなければなりません。

バンコクの路線に無料バスがある理由は、彼らの
救済のためで、貧乏旅行者のためじゃありません。

そんな超低所得層、貧困層を扇動して起こした惨事
が、バンコク 5・19、赤服騒動だったわけです。

彼らの不満が、バンコクバンクやホワイトカラー層に
向けられたのは、政治的な理由だけじゃないでしょう。

サイアムパラゴンで100バーツのコーヒーを飲んだり、
200~300バーツの食事をする市民や学生が目立つ
ようになり、タイの急速な経済成長が実感できますが、
1日100バーツで生活する人々に、その社会の根元が
支えられていることを、忘れてはいけません。

この学歴至上主義から来る賃金格差を縮めない限り、
赤服騒動は、また、起こります。
(次回、-バーガールの話に続く)

タイで格差が大きい分野は「収入」「権利」・・・
(CAPLOGUE)
所得の格差は、タイの大きな社会問題。
首相、年末までに赤服が再集結 ・・・
(タイの地元新聞を読む)
赤服集団が年末までに確実に活動を再開すると、
アピシット首相は考えているが・・・
刈入れ時期が終われば、騒動が起こる可能性大。
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