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何も解決していないタイの赤服問題(2)-バーガール

タイのブログ-タイ情報とコラム

バンコク 5・19、今年も赤服騒動がありました。
そして今も赤服問題は何も解決されていません。

このブログで、赤服問題の根元を探って行こうと、
前々回のブログでは教育格差について、前回の
ブログでは学歴至上主義について書きました。

今日は、僕が根城としているサムイ島やパタヤ
を見ていて思うこと、
なぜタイには、こんなにバーガールが多いのか?
という観点から、赤服問題の根元を探ります。

もちろん、ビア・バーとかプール・バーはタイ全土
にあるわけじゃありません。
白人旅行者が多い観光地にその種の店があり、
バーガールたちが存在しています。

そして、バーガール=イサーン地方の農家の娘
と言っていいほど、東北農家出身の出稼ぎの場
であることに、驚かされます。

東北農家= タイの草の根の農村 ですよね。

バーガールたちは、納税の義務が無い代わりに、
社会的な地位がありません。
社会保障ゼロ。タビヤン・バーン(戸籍+住民票)
が田舎から移せず、サムイ島に居てもサムイ市民
にカウントされない人々です。
彼女たちはイエローカード(医療補助カード)さえ、
住民登録の無いサムイ島では使えません。

なぜ、社会的存在さえ認められないバーガールに、
彼女たちはなるのだろうか?

まず、バーガールを風俗業と考えたら、その中でも
かなり異質な存在ですね。

バンコクのテルメに出没する女の子たちは売春婦。
客とお金の交渉をして、一生懸命に稼ごうとする。
相手がハンサムかどうかは関係なし。お金次第。
MPとか、ゴーゴーのお客を選べない女の子たちの
境遇も同じで、荒稼ぎするために働いている。

そんな風俗業の稼ごうとする女の子たちと比べると、
バーガールは、稼がない。
(だから、僕らは気楽にバーに遊びに行けるのだが)
お客選びは彼氏選びと同じで、よほど不運が続いて
金欠のときしか、タイプじゃない客と外出しない。

僕は、プール待ちのときなど、いろんなバーガールと
話をするが、昔のように惨めな身の上話に打たれ、
タンブンしてやろうか、という気にはならない。

最近のバーガールは、中卒や高卒で低賃金労働を
強いられる職場から逃げ出して来ただけ
である。
(お金に困って、やむなくバーガールになった話は稀)
かなり気楽に、サバーイ(快適)を求めて働いている。

もしくは、農業の閑散期だけ出稼ぎに来る、よく日に
焼けた連中。
旅行者は常夏のビーチで焼けた肌と勘違いするが。

週1度、気に入った男と一夜を過ごして、ドリンク代
を稼げば、工場労働の倍は稼げるという腹つもり。
実際は、欧州人の彼氏をつくり数週間居なかったと
思ったら、彼氏が帰国して店に戻ってくる繰り返し。

教育格差による低学歴で、超低賃金にうんざりした
女性の、割り切った職業選択か。
バーガールは、楽して程々に稼ぎたい女性の仕事、
ファラン(白人)と恋におち、夢を見る職業、
となってしまったようだ。

さらに、彼女らはタイの階級社会の枠をはみ出して
逞しく生きている。
欧州人の彼氏をつくり同棲するとか、
欧州人と結婚して、ヨーロッパで暮らすとか。

家柄を気にしない、
学歴を気にしない、
貧乏を気にしない、
恋に落ちただけで結婚してしまう欧州男児は偉大だ。
(日本人の半数は、バーガールを慰安婦程度にしか
見ていない買春男たちなのに比べて)

貧困農家の心のよりどころが、ファラン(白人)。
そして、バーガールの存在が彼らをタイに引き寄せて、
バーガールが観光大国タイランドを助けているのなら、
バーガールは、タイの貴重な財産と言えるでしょう。

しかし、僕の目から見ると、
バーガールは、タイ社会の歪みから生まれた産物。

お金にならない稲作農業
教育格差による低学歴
学歴至上主義による超低賃金
接点のない階級社会の底辺

こんな、不幸の4本柱を背負った彼女たちが、
ファラン(白人)にしか希望を見つけられない国、
それが、現在のタイランドですね。

貧困農村に生まれた低学歴の女の子たちが、
バーガールにならなくても明日への希望があり、
人間らしく暮らしていける社会に変わらないと、
赤服問題の根元の部分は、解決されません。

やはり、賃金格差の問題が大きいですね。
もし、日本の社会で、
高卒給料が大卒給料の3分の1と定められたら、
日本はどうなると、思いますか?

(次回、-草の根の農村の話に続く)

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