このブログで、赤服問題の根元を探って行こうと、
赤服テロの盾として政治権力闘争に扇動された、
タイの底辺の人々にスポットを当ててきました。
タイの草の根-農村の人々 では赤服デモに参加
した貧困農村のおじちゃん・おばちゃんたち。
何も解決していない赤服問題(2)-教育格差
では、教育格差から高校進学もままならない状況
にある貧困農村出身の若者たち。
何も解決していない赤服問題(2)-学歴至上主義
では、月給6000バーツで働く貧困層の人々と、
経済成長で増えた中間層の都市での生活格差。
何も解決していない赤服問題(2)-バーガール
では、貧困農村出身の娘がバーガールになると
いう、タイ社会の歪みから生まれたバーガールの
存在について。
今日は、草の根の農村に住む農民が貧乏な理由
を探ってみましょう。
僕が訪れたことがあるタイの東北地方の農村では、
屋敷と広い農地を持ちながら、人々は貧乏でした。
その原因を探ってみると、
儲からない稲作農業
農民から搾取する権力者(高利貸し)の存在
が、まず挙げられるでしょう。
草の根の農村の年明けは、まず借金から始まる。
まず、タクシン・マネー(低金利融資制度)で生活費
を借りる。これは、低金利だから良いでしょう。
そして稲作時期の前に、稲作準備と生活のために、
また借金を重ねる。
最近は、タイ・ファーマーズ・バンクなどの大手銀行
から合法的な金利で借りられるようだが、土地の権
利書を取り上げられたり、書類審査などの手続きが
面倒なため、相変わらず、高利貸しから借りることが
主流のようだ。
高利貸し = 地元有力者 = 赤服幹部
という事情があるため、多くの人々が借りざるを得ない
立場にあり、(農民たちがいちばん怖れるのは村八分)
地元有力者は、自分たちの定めた金利より低利で貸す
ことを認めない。
短期の借金では、月利5%が彼らの常識である。
(年利で元金の倍近くなるのに、誰も高利とわからない)
例えば、隣人から借金の申込みがあって、1万バーツを
わずか数日貸した場合でも、村民は誰でも5%の利子、
(この場合500バーツ)を求める慣習だ。
●草の根農村の経済
6万バーツを3年間借り、その年の稲作を始めた場合、
利子として、収穫時に2万バーツと収穫米の一部。
それが、3年間続く。
彼らは鶏、豚、水牛を飼い、野菜を作る自給自足の
生活。それでも稲作と生活費で、稲作期間の半年で
6万バーツは出費する。
収穫日には高利貸しのトラックが田んぼに待機して、
袋詰めされた稲を利子分だけ持ち去る。
日本並みの値段のガソリンと農薬を使って稲を育て、
残った稲からの収入は利子を返すと6万バーツ程。
この6万バーツは、翌年の稲作に使われる。
稲作のない11~4月の生活費は、出稼ぎで賄うか、
都会で働く子供たちの仕送りを頼りにする。
そして、3年が経つと、元金の返済。
6万バーツ返すために、再び6万バーツ借金をする。
タイの草の根の農村では、
稲作をしない有力者の手元に多くの収穫米が集まり、
彼らは、米を高値になるまで寝かしてから売りつける。
金持ちが潤い、農民が借金を重ねる貧困農村の経済。
赤服という組織は、農民を生かさず殺さずして、
彼らの貧乏の原因が、タイの都市部の裕福層にあると、
農民を洗脳して、彼らをデモに扇動している。
タイの草の根の農村の悲劇は、
1年でも不作の年があると、農民は借金が返せなく
なってしまう。
借金を返せない時の高利貸しの手口はヤクザ同様、
さまざまな嫌がらせをしたり、娘に売春を斡旋する。
彼らには、ミセシメが必要なのである。
タイの田舎に行けば行くほど、
政府の力が及ばず、地方ルールが存在している。
借金に追われ、
儲かってもいない稲作を続ける農民たち。
それでも、彼らは稲作しかできないから、
稲作がしたい、と言うのです。
バンコク伊勢丹近くで爆発 1人死亡、10人負傷
(newsclip.be)
非常事態宣言を解除したくない権力の臭いが・・・
首相、年末までに赤服が再集結 ・・・
(タイの地元新聞を読む)
赤服集団が年末までに確実に活動を再開すると、
アピシット首相は考えているが・・・
アピシット首相は、
来春には赤服騒動が再開することを前提に、
防備を固めようとしているように見えますが、
赤服問題の根元に居る貧しい人々の救済に、
何か思い切った決断をする必要がある時期、
それが今である、と僕は思います。
(次回、-タイ情勢の見通しに続く)